画家の家族に課せられる拷問

この本の主人公は腕の良い肖像画家である。
趣深い絵を描く画家である事が文章から
伝わってくる。



文章の端々から我が家の親父が昔、油彩
画家として「油がのりきっていた」頃の
実家での過去が懐かしく思い起こされる。

>>>>自分が小学生の時、

よく母親と一緒に絵のモデルにされて
いた時期がある。絵の構図から結構、
無理のある姿勢をとらされる事もあった。

「そのまま!動くな!」。。

5,6歳児の自分にとって小一時間ほど
動いてはならない命令は拷問以外の
何物でもなかった。
指で鼻先を掻いただけで親父から
油彩用の太い筆のムチが飛んできた
ものだ。
外から聞こえてくる近所の仲間が
遊んでいる楽しそうな声を恨めしい
思いで聞いていた覚えがある。

物語の中のようにモデルになりながら、

「薔薇の騎士」(ショルティ指揮)


でも流れていたら素敵だったのだろうが
小学生の自分には到底理解できい音楽
だったんだろうな。

>>>>親父がアトリエに入って、

絵を描いている時間に家の中で物音を
たてるのは御法度だった。

しーーっ、、、、

たまに親父の絵の師匠が親父を指導
するため我が家にやってきた。
その時の空気のピリピリ具合といったら
もう。。

長い髪の毛が真っ白で口数が少なく
ボソボソと話す大先生だった、、

本人はニッコリしていたつもりだろうが
休憩時間中に私に話しかけられた
事も数回あった。

その度に震え上がる思いをしたものだ。

見上げた時の顔がこの有名指揮者の
このアルバムジャケットの写真に
そっくり。



物語の中で主人公が描いた免色
(めんしき)さんの肖像画を想像して
みる。荒々しいタッチの中にも強く
訴えかける力を持つ絵、じわじわと
良さが伝わってくる絵である事がわかる。

物語に触発されて私もお袋の水彩画を
描いて実家に郵送した。

やめておけば良かった。。。

少なからず気分を害された模様。。

私にとって絵をうまく描けないという
拷問はまだまだ続く。。。


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